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2022.12.22「ドローン購入の際の注意点」
ドローンを購入するとき、ある程度の知識がないと余分な出費や合法的に飛ばせない機体を購入してしまうパターンに陥る可能性が多くあります。特にFPV ドローンは、初心者には難解な部分が多いでしょう。私もまだ勉強中ですが、150機以上ドローンを購入した経験から引っ掛かりやすい点をまとめてみました。
1 ドローンを購入する時の注意点と販売形態
[RTF]機体と送信機がセットになっていて、買ってすぐに飛ばせるセット。
DJI やトイドローンで見られる一般的な販売形態です。購入時に確認すべき点は…- モード1かモード2か?(切り替え可能な機種もあります)
- 機体重量は?無人航空機(100g以上)かトイドローン(100g未満)か?
(無人航空機はリモートIDの搭載と機体登録が義務付けられています) - ブラシレスモーターかブラシモーターか?(耐久性が異なり、メンテナンス方法や注意点も異なります)
- 衝突防止センサー、GPS、オプティカルフロー、大気圧センサー、ジャイロ(6軸/3軸)等、装備しているセンサー類は?
(目的と操作技術によって選択肢が異なります) - バッテリーの種類は?いくつ付属?
- 充電器は付属している?(付属していない場合、適合する汎用品を用意する必要があります)
- 技適マークは付いている?(機体/プロポともに技術基準適合証明等を得ていないもので電波を発すると違法です)
- 映像転送電波は?(5GWi-Fiは日本では使用不可、5.8アナログは無線免許と開局届けが必要です)
- 機体、カメラともに目的に応じている?
[BNF]ベースはノーフライの機体のみ、ペアリング済みの送信機が付属していないドローン単体販売です。購入時の注意点は…
- レシーバーのタイプ(自分の使用している送信機のプロトコルとの互換性を確認)
- レシーバーを別途購入して取り付る場合は、ハンダ作業が必要
- バッテリーのセル数(手持ちのバッテリーが使えるか確認、またはバッテリーを別途購入)
- 通常、取扱説明書は付いていない
[PNP]レシーバーなしの機体単体販売です。
[ARF]ご自身で機体を組み立てるキット販売です。購入時にはセット内容をよく確認しましょう。
- レシーバーがない商品が多い
- 固定翼ではFCやモーターが付属しない機体だけのセットもある
[自作機]必要部品を購入し、ご自身で組み立てるケースです。
各部品の互換性が重要で、タイニーフープなどはFCとESC、VTX、レシーバーが一体になった商品も多くあります。最低限必要なモノは…- フレーム
- FC
- モーター
- ESC
- レシーバー
- カメラ
- VTX
- ネジ類
- 配線類
2 レシーバー(受信機)の種類
レシーバーの種類は、主に下記2種類です。受信方式によってバインド方法が異なるので、注意が必要です。
- シリアル接続受信機(SBUS等):外部受信機なので後付や交換が可能
- SPI受信サポート:FC/受信機一体型
3 ドローンに使われる代表的なソフトウェア
ドローンのセッティングには専用ソフトウエアを使用します。自作系FPVはたいてい対応していますが、ハブサン、ワルケラ、DJI 、バグス、トイドローンなどは非対応。非対応機体は、付属のプロポと機体をバインドすればすぐに飛ばすことができますが、細かいセッティングはできません。メジャーな専用ソフトウエアは下記2種類です。
- BETAFLIGHTConfigurator:マルチコプターの各調整が幅広く出来るソフト
- BL Heli Configurator:ESCの調整やモーターの回転方向を設定できるソフト
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2022.12.22「リポはストアモードで保管」
リチウムイオンポリマーバッテリー(以下、リポバッテリー)がドローン等に多く扱われている理由は、一度に大きなエネルギーを放出できる=瞬発力があるからです。その反面、取扱上の注意が必要なバッテリーでもあります。取扱方法を間違えると高価なバッテリーの寿命を縮めることがありますし、火災等の重大事故にもなりかねません。リポバッテリーは、過充電、過放電、満充電での保管は厳禁。新品のリポを購入すると50〜60%の充電量で届くことが多いですが、この状態をストアモードといい、保管時のもっとも安全な充電量です。
リポバッテリーの取扱いでは、以下の点に十分注意しましょう!- 充電電圧を間違えないこと
- 充電中はその場から離れないこと
- 充電が終わったら速やかに充電機から外すこと
- 0℃以下の環境では充電しないこと
- 端子が短絡しないように保管すること
- 衝撃を与えないこと
- ストアモードで保管すること
- ダメージがあるものや膨らんだものは使用しないこと
- 高温になる場所に置かないこと
- 廃棄は家電店等のリサイクルボックス、または、塩水に浸けて完全放電させてから不燃物で棄てること
これらは事故を防ぐための注意点ですが、廃棄方法以外はリポバッテリーを長持ちさせるための秘訣でもあります。ちなみにDJI のインテリジェントバッテリーは、過充電しない専用充電機が付属しており、満充電時や異常時には自動で充電を停止します。また、温度を自動感知して充電しますし、構造上端子の短絡が起きず、長期間使わないとストアモードまで自動放電してくれるという、至れり尽くせりのバッテリーです。
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2022.12.22「包括申請は独自マニュアルで」
1年間有効な全国包括飛行許可申請(以下、包括申請)には10時間以上の飛行経験が必要なので、初心者向きの内容ではありませんが、けっこう重要なことなので取り上げます。
包括申請を取得する方は、DID地区飛行、物件30m以内飛行、目視外飛行、夜間飛行をセットで申請します。夜景が撮りたいから夜間飛行許可を、モニター映像を見ながら遠くの景色を撮影したりFPVをやりたいから目視外飛行許可を申請する方は多くいらっしゃいますが、実はDID地区飛行と物件30m以内接近飛行が一番重要なのです。なぜなら、人、建物、電線、橋、ガードレール、車等から常に30m以上離れて飛行させるのはかなり難しいから。また、橋の下をくぐれないなど制限も多くなります。
そこで重要になるのが、国土交通省標準飛行マニュアル。標準飛行マニュアルはドローンを飛ばす上でのいわばバイブルです。ぜひこれを熟読して理解しておきましょう。包括申請とは、決められた機体で決まった操縦者が決められた場所もしくは全国で飛行マニュアルの通り飛ばすことに対して、1年間の許可承認をくださいということなのです。ですから当然、飛行マニュアル通りに飛行しなければ航空法違反になり、逮捕されれば50万円以下の罰金または一年以内の懲役です。
しかしこの標準飛行マニュアル、みなさんが申請に使うには落とし穴があるのです。物件30m接近飛行は許可されていますが、物件30m以内の離発着は許可されていません。つまり、DID地区の飛行許可があっても、野球場や広場など広い場所の真ん中から離発着しないと屋根の点検もできないのです。DID地区外でも自分が乗ってきた車や電信柱、電線等の人工物が全くない離発着場所を見つけるのは至難の業。もちろん、ハンドリリースや室内で離陸して窓から出ることも許されません。それらをクリアするために活用したいのが、独自飛行マニュアルです。国土交通省標準マニュアルの内容を元に必要な項目を加筆・修正したものが独自マニュアルですが、有効な安全対策がきちんと記載されていれば飛行マニュアルとして認められ、その内容での包括飛行許可が下ります。ちなみにDRONEHOLIC cafeでは、物件30m以内離発着、風速8m/s以内飛行、学校・病院上空飛行と離発着を業務上必要な場合に限り安全対策を施した上で行える、という内容の独自マニュアルを作成しています。
【2022年12月追記】
国土交通省標準飛行マニュアルが改定され、物件30m以内の離発着、学校・病院上空飛行は、安全対策を施した上で飛行可能になりました。DRONEHOLIC caféでは、以前は独自飛行マニュアルの作成をお奨めしていましたが、今となっては標準マニュアルで十分です。ちなみに、標準マニュアルでの風速制限は5m/sですが、私自身は、安全上の理由から風速5m/s以上の環境での飛行を推奨していません。【2023年1月追記】
当カフェには、他のスクールで学ばれた方もいらっしゃいます。お話を聞いてみると、包括飛行許可を受けているものの、国土交通省標準マニュアルに書かれていることをご存知なかったり、何なら包括飛行申請のことすら知らなかったり。ドローンパイロットとして、それはよろしくありません。周囲に迷惑をかけず、楽しく飛ばすために、法律や条例はもちろん行政からの指導内容についても、きちんと知っておいた方がいいと思います。 -
2022.12.22「センサーに頼るな、道具として使え!」
ドローンには、ジャイロセンサー、加速度センサー、大気圧センサー、GPS、オプティカルフローセンサー、衝突防止センサー等さまざまなセンサーが搭載されています。どれも便利な機能ですが、頼り切ってしまうと落とし穴があります。
衝突防止センサーは、小枝や電線を感知しきれなかったことによる接触事故が多発しています。また、狭いところを潜れなくなるという欠点もあります。
オプティカルフローセンサーは、水上低空飛行で誤反応を起こしやすく、水没事故を起こしがちです。
GPSは屋内では信号を捉えられないため、機種によっては室内で飛ばせないことも。また環境によっては不正確な情報が事故の原因になりかねません。
大気圧センサーは、三次元の滑らかな飛行を阻害する要因になります。
加速度センサーが利いている機体では、宙返りやダイナミックな飛行ができません。
どれも素晴らしい補助機能を発揮するセンサー類ですが、特性をよく理解し、センサーに頼るのではなく便利な道具として活用することが、安全な運航につながる秘訣だと思います。
なお、フライト前にはRTH(Return to Home)の高度設定も忘れずに。帰還途中で障害物に当たり帰ってこない事例もよく見られます。 -
2022.12.22「逃げるなら上へ」
ドローンを飛ばしているとバードアタックや電波障害によるブラックアウトを何度も経験します。初心者は早く機体を自分の元に戻して安心したい気持ちが先立ち、飛行高度を下げる傾向にありますが、鳥は自分より高い位置にある物を攻撃しない習性があり、電波障害によるブラックアウトも高度を上げることで遮蔽物から逃れ障害を軽減することが期待できます。
また、アンテナの向きも重要です。よくアンテナの先を機体に向けている人を見かけますが、これは大きな間違い。電波はアンテナの横から楕円状に放射されるため、面を機体に向けるのが正解です。
電波強度を上げる八木アンテナや反射板は、放射の楕円が潰されるぶん電波到達距離が伸びる仕組み。より遠くまで電波が届くものの指向性が強くなる(範囲が狭くなる)ことに注意が必要です。
写真は機体に対するアンテナの正しい向きです。 -
2022.12.22「風上に向かって飛ばせ」
ドローンを始めたばかりの頃は、風速計を見て風速5を厳守、ブラシモーターのトイドローンなら風速2ぐらいが安全な範囲と決めていました。しかしそんなに神経質にならなくても、ホバリングから風上に向かって少し進めれば、推進力と風のうねりは機体の挙動から判断できます。そこから高度を上げれば、風速が上がり風向きも変わる可能性大。まずは目の前でホバリングさせ、風上に移動させることで、フライトに適したコンディションかどうかを判断できます。
いきなり目標に向かって飛ばしたいのは山々ですが、最初にこの試験飛行をすることがとても大切。フライトを中止する判断ができるようになれば、風に流されて機体をロストするリスクを大幅に軽減できるのです。
私は最近、ラジコン固定翼を飛ばす機会が増えています。固定翼こそ風を読まないとあっという間に墜落です。