RTH(リターントゥホーム=自動帰還システム)はいろいろな危険をはらんでいます。はじめはRTHを便利な自動帰還システムだと思いがちですが、使わないに越したことはありません。電波が切れそうなときや目視外飛行でブラックアウトしたときなど、付いててヨカッタと思う場面も多い機能ですが、特性をよく理解したうえで使いこなすべき機能だと思います。以下はRTHを活用する際の注意点です。

  • ホームポイントはGPSを補足した地点で設定されます。GPSを補足しきらないうちに飛ばしてしまうと、帰還地点が思わぬ場所に設定されてしまう場合もあります。また、自分が移動したにもかかわらず最初に離陸した地点に帰還しますから、海上などで離陸させた場合などは残念な結果が待っています。
  • 設定した高度まで上昇してホームポイントまで直線で帰ってくる機種が多く、途中に障害物があったり鳥や他のドローンが飛行していたりしても直線で飛行し続けます。つまり、途中に障害物があれば衝突して帰ってきません。衝突防止センサーが付いている機体でも、小枝や電線を認識できないケースが多く確実ではありません。ですから、飛行経路の障害物を把握し、飛行経路範囲に他の飛行物体が進入する可能性も考えて、少し高めの高度設定をすることが重要です。
  • DJIの設定画面では、RTHとその場でホバリングを選べるようになっています。その場でホバリングを選んでいるにもかかわらずRTH できないと慌てている人を稀に見ますが、それはもちろん問題外です。
  • RTHは電波が遮断されたときやローバッテリーで自動的に作動し、まずは設定した高度まで上昇します。でもそれが、橋の下や木で上が覆われた溪谷などを飛んでいる最中だったら…、当然上部の障害物にぶつかって墜落します。

RTH関連の事故例は切りがないほどたくさんあります。ちなみに私の個人的見解として、RTHが起動するのはドローンパイロットとして恥だと思っています。RTHの自動起動は、機体の管理や飛行計画がきちんとできていなかった証。次の安全運航に向けて反省すべき点をきちんと精査すべきと考えています。

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