1年間有効な全国包括飛行許可申請(以下、包括申請)には10時間以上の飛行経験が必要なので、初心者向きの内容ではありませんが、けっこう重要なことなので取り上げます。

包括申請を取得する方は、DID地区飛行、物件30m以内飛行、目視外飛行、夜間飛行をセットで申請します。夜景が撮りたいから夜間飛行許可を、モニター映像を見ながら遠くの景色を撮影したりFPVをやりたいから目視外飛行許可を申請する方は多くいらっしゃいますが、実はDID地区飛行と物件30m以内接近飛行が一番重要なのです。なぜなら、人、建物、電線、橋、ガードレール、車等から常に30m以上離れて飛行させるのはかなり難しいから。また、橋の下をくぐれないなど制限も多くなります。

そこで重要になるのが、国土交通省標準飛行マニュアル。標準飛行マニュアルはドローンを飛ばす上でのいわばバイブルです。ぜひこれを熟読して理解しておきましょう。包括申請とは、決められた機体で決まった操縦者が決められた場所もしくは全国で飛行マニュアルの通り飛ばすことに対して、1年間の許可承認をくださいということなのです。ですから当然、飛行マニュアル通りに飛行しなければ航空法違反になり、逮捕されれば50万円以下の罰金または一年以内の懲役です。
しかしこの標準飛行マニュアル、みなさんが申請に使うには落とし穴があるのです。物件30m接近飛行は許可されていますが、物件30m以内の離発着は許可されていません。つまり、DID地区の飛行許可があっても、野球場や広場など広い場所の真ん中から離発着しないと屋根の点検もできないのです。DID地区外でも自分が乗ってきた車や電信柱、電線等の人工物が全くない離発着場所を見つけるのは至難の業。もちろん、ハンドリリースや室内で離陸して窓から出ることも許されません。

それらをクリアするために活用したいのが、独自飛行マニュアルです。国土交通省標準マニュアルの内容を元に必要な項目を加筆・修正したものが独自マニュアルですが、有効な安全対策がきちんと記載されていれば飛行マニュアルとして認められ、その内容での包括飛行許可が下ります。ちなみにDRONEHOLIC cafeでは、物件30m以内離発着、風速8m/s以内飛行、学校・病院上空飛行と離発着を業務上必要な場合に限り安全対策を施した上で行える、という内容の独自マニュアルを作成しています。

【2022年12月追記】
国土交通省標準飛行マニュアルが改定され、物件30m以内の離発着、学校・病院上空飛行は、安全対策を施した上で飛行可能になりました。DRONEHOLIC caféでは、以前は独自飛行マニュアルの作成をお奨めしていましたが、今となっては標準マニュアルで十分です。ちなみに、標準マニュアルでの風速制限は5m/sですが、私自身は、安全上の理由から風速5m/s以上の環境での飛行を推奨していません。

【2023年1月追記】
当カフェには、他のスクールで学ばれた方もいらっしゃいます。お話を聞いてみると、包括飛行許可を受けているものの、国土交通省標準マニュアルに書かれていることをご存知なかったり、何なら包括飛行申請のことすら知らなかったり。ドローンパイロットとして、それはよろしくありません。周囲に迷惑をかけず、楽しく飛ばすために、法律や条例はもちろん行政からの指導内容についても、きちんと知っておいた方がいいと思います。

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